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コラム 地域・国ごとのカーボンニュートラルへの取り組みを紹介!対応遅れにより生じるリスクとは?


地域・国ごとのカーボンニュートラルへの取り組みを紹介!対応遅れにより生じるリスクとは?

カーボンニュートラルを実現するため、各地域や国ではさまざまな施策を策定しています。たとえば、EUでは「欧州気候法案」を採択し、温室効果ガス削減目標を法定化するなど、厳格な規制を設けています。一方で、米国やAPAC地域では、各産業や地域特性に応じた柔軟なアプローチが見られます。

これらの国際的な動向に企業が対応するためには、自社内だけでなく、サプライチェーン全体でのCO2排出量の正確な把握が重要です。情報開示や排出量削減などの対応が遅れると、企業はパートナー企業からの取引停止などに直面するリスクがあるため、早急に対応を進める必要があるでしょう。

本記事では各国がどのようにカーボンニュートラルに取り組んでいるか、詳しく紹介します。対応が遅れるリスクや企業が取り組むべき対応策も解説しますので、参考にしてください。

1. 地域・国ごとのカーボンニュートラルの規制動向

地域・国ごとのカーボンニュートラルの規制動向

カーボンニュートラルを実現するため、多様な施策が策定されています。グローバル規模で展開する企業は、自社で直接消費するエネルギーや資材(Scope1、2)のみならず、サプライチェーン全体での間接排出(Scope3)への対応が求められます。はじめに、地域・国ごとのカーボンニュートラルの規制動向について解説します。

EUでのカーボンニュートラルの規制動向

EUでは気候変動対策の主要な取り組みとして、2021年7月に欧州理事会で「欧州気候法案」が採択されました。この法案により、2050年と2030年の温室効果ガス削減目標が法定化され、「Fit for 55」と呼ばれる包括的な政策パッケージが導入されています。

主な施策は以下のとおりです。

  • 排出量取引の強化(2005年43%→2030年61%)
  • エネルギー効率化目標の引上げ(1990年32.5%→2030年36-39%)
  • 2035年以降のガソリン車の新車販売禁止
参考: 経済産業省 資源エネルギー庁「第1節 脱炭素を巡る世界の動向

米国でのカーボンニュートラルの規制動向

米国は2035年までに電力部門の脱炭素化をめざしています。産業分野では電化を推進し、電化が困難な分野ではクリーン水素の活用を推進しています。

また、エネルギー転換部門ではHFC(代替フロン)や石油ガス開発時のメタン排出規制を策定し、航空分野では持続可能な航空燃料への転換を計画するなど、部門ごとの具体的な取り組みが進められています。

参考: 経済産業省 資源エネルギー庁「第1節 脱炭素を巡る世界の動向

APAC地域でのカーボンニュートラルの規制動向

APAC地域では、シンガポール・タイ・インドネシア・ベトナムなどの国々がそれぞれ独自の目標と政策を掲げています。APACでは急速な経済発展とともに排出削減への取り組みが重要視されており、特にScope3のような広範囲な排出対応が企業に求められる点が特徴です。

シンガポール

2050年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出量を差し引き「ゼロ」にすること)を目標に掲げ、2022年に上場企業に対して段階的にサステナビリティ報告書の開示を義務化しました。さらに2025年からISSB(国際サステナビリティ基準審議会)基準を適用させ、2026年からはScope3データも開示義務に含まれる予定です。

タイ

2050年までにカーボンニュートラル、2065年までにネットゼロ達成を目標に掲げています。2030年までにGHG(温室効果ガス)排出量の30%削減を計画しています。また、2022年8月より石油事業者に対してScope1、2の報告を義務化し、遵守しなかった場合は罰金が科すなど、厳しい環境責任を課しています。

インドネシア

2060年までにネットゼロを目指し、2025年には炭素税の導入を検討しています。2023年より金融機関に対し、サステナビリティ報告書の開示を義務化しており、2025年から炭素税の導入が検討されています。

ベトナム

2050年までにネットゼロを目指し、ベトナム政府は2016年より全上場企業に対するサステナビリティ報告書の提出を要請し、2025年までに排出権取引市場の開始を宣言しています。

2. CO2排出量の策定と開示に向けた、リスクと背景とは?

サプライチェーン全体でのCO2排出量の算定と開示は、企業の持続可能性の確保や地域・国ごとの規制対応において避けては通れない課題の一つです。

CO2排出量におけるサプライチェーン全体図

特にScope3は多くの企業で全排出量の8割を占めていますが、その算定と開示には多くのリスクと課題が伴います。たとえば、海外拠点ではデータ収集の仕組みが整っていない場合が多く、現地サプライヤーからの情報の収集や精度向上には多大な労力が必要です。こうしたハードルを乗り越えるためには、企業全体で背景とリスクを把握し、戦略的に対応を進めることが求められます。

グローバルサプライヤーからの情報開示請求

グローバルサプライヤーのピラミッド図

環境規制が厳しい製造業や自動車業界では、サプライヤーに対する情報開示請求が活発に実施されています。たとえばTier1(一次サプライヤー)企業に対し、Scope3排出量データの算定と提供を義務付ける動きが広がっています。

この傾向は、Tier2、Tier3(下位サプライヤー)にも連鎖的に波及しており、親会社はサプライチェーン全体を管理する必要性が高まっています。具体例として、某自動車会社では、「グリーン調達ガイドライン」を通じて、サプライチェーン全体の排出量を把握する仕組みを構築し、取引先企業に対し具体的な排出データの提供を求めています。

ステークホルダーからの要請

投資家や金融機関をはじめとしたステークホルダーは、企業の環境対応に厳しい目を向けています。たとえば、欧州では企業持続可能性報告指令(CSRD)に基づき、企業に環境パフォーマンス情報の開示が義務付けられ、サプライチェーン全体でのCO2排出量データの透明性が求められています。

また、消費者の製品選択においても環境負荷の少ない製品を選ぶ傾向が強くなっています。このような状況下で適切な算定と情報開示を怠ることは、企業価値の低下や競争力喪失といった大きなリスクを伴うため、海外拠点を含めて企業全体で戦略的な取り組みを進める必要があるでしょう。

3. カーボンニュートラルの実現にはCO2排出量の可視化が重要

カーボンニュートラルを実現するには、企業全体(コーポレートレベル)と製品ごと(プロダクトレベル)の両面でCO2排出量を正確に把握・管理することが重要です。CO2排出量の可視化により、達成可能な削減目標の設定と効果的な対策を講じることができます。これらの取り組みは、環境規制への対応だけでなく、企業プレゼンスの向上や競争力の向上にも寄与します。

コーポレートレベルでCO2排出量を管理する意義・メリット

コーポレートレベルでCO2排出量を管理する意義・メリット

企業全体でのCO2排出量の把握・管理は、環境規制への確実な対応を可能にするとともに、経営戦略上の重要な判断材料となります。たとえば、工場やオフィスでの電力使用量、社用車からの排出、製造過程での排出などを正確に測定すれば、効果的な削減策を講じられます。

くわえて、CO2排出量削減の取り組みを外部に発信することで、企業価値の向上にもつながるでしょう。また、全社的な環境目標の設定や進捗管理を行うことで、従業員一人ひとりの環境意識を高める効果も期待できます。

プロダクトレベルでCO2排出量を管理する意義・メリット

プロダクトレベルでCO2排出量を管理する意義・メリット

製品やサービスのライフサイクル全体での環境負荷を把握することは、競争力強化や市場での差別化につながります。たとえば原材料の調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの各段階での排出量を理解することで、環境に配慮した製品開発が実現できます。他にも、取引先との関係強化やコスト削減も期待でき、サプライチェーン全体での最適化につながります。

コーポレートレベルとプロダクトレベルの両面でのCO2排出量の把握・管理は、環境負荷の低減という社会的責任を果たすとともに、企業の持続的な成長と競争力強化につながるでしょう。

4. まとめ

カーボンニュートラルの実現は、国際的な規制への対応が求められます。親会社やパートナー企業からの情報開示や排出量削減などの対応が遅れると、取引停止や企業価値の低下といったサプライヤーとしての地位を失う可能性があるため、CO2排出量の可視化からはじめ、戦略的な対応を進めることが重要でしょう。

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