近年、企業の規模や業種を問わず、サイバー攻撃による被害が発生しています。ひとたび攻撃を受ければ、事業停止や情報漏洩といった直接的な損害だけでなく、顧客や取引先からの信頼失墜にも繋がりかねません。
デジタル化が進む現代において、サイバー攻撃はもはや他人事ではなく、すべての企業が取り組むべき経営課題です。
本記事では、サイバー攻撃の基本的な知識から最新の動向、そして企業が取るべき具体的な対策までを分かりやすく解説します。
近年、企業の規模や業種を問わず、サイバー攻撃による被害が発生しています。ひとたび攻撃を受ければ、事業停止や情報漏洩といった直接的な損害だけでなく、顧客や取引先からの信頼失墜にも繋がりかねません。
デジタル化が進む現代において、サイバー攻撃はもはや他人事ではなく、すべての企業が取り組むべき経営課題です。
本記事では、サイバー攻撃の基本的な知識から最新の動向、そして企業が取るべき具体的な対策までを分かりやすく解説します。
サイバー攻撃は、もはや単なるITの問題ではなく、企業の存続そのものを脅かすリスクとなっています。
まずは、サイバー攻撃の定義と、なぜ今その対策が急務とされているのかを解説します。
サイバー攻撃とは、インターネットなどのネットワークを通じて、企業のサーバー、PC、スマートフォンといったコンピューターシステムに対し、不正にアクセスしたり、データの窃取、改ざん、破壊を行ったりする行為の総称です。
また、システムそのものを停止させ、業務を妨害する行為も含まれます。攻撃者は、システムの脆弱性や人間の心理的な隙を巧みに突き、様々な手口で攻撃を仕掛けてきます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やテレワークの普及により、企業のIT活用領域は急速に拡大しました。
サイバー攻撃はより巧妙化・悪質化しており、対策を怠ることは事業継続において致命的な結果を招きかねません。
攻撃者はどのような意図を持ってサイバー攻撃を行うのでしょうか。その目的は多岐にわたりますが、主に以下の4つに分類されます。
最も一般的な目的は、金銭的な利益を得ることです。ランサムウェアでデータを人質に取って身代金を要求する、インターネットバンキングの認証情報を盗んで不正送金を行う、クレジットカード情報を不正利用するなど、その手口は直接的かつ多様です。
企業の持つ技術情報や顧客データ、従業員の個人情報なども主要なターゲットです。盗み出された情報は、ダークウェブなどで売買されたり、競合他社に渡ったりすることで、企業の競争力を著しく低下させます。また、個人情報の漏洩は、被害者への賠償や社会的な信用の失墜に繋がります。
特定の国家や思想を背景に持つ攻撃者グループ(ハクティビスト)が、自らの主義主張をアピールするために政府機関や大企業のWebサイトを改ざんしたり、サービスを停止させたりするケースです。近年では、国際情勢の緊迫化に伴い、重要インフラを狙った攻撃も確認されています。
特定の企業や組織に恨みを持つ人物が、嫌がらせや業務妨害を目的として攻撃を行う場合もあります。Webサイトやサーバーに大量のデータを送りつけてサービスを停止させるDDoS攻撃などが代表的な手口です。これにより、企業の経済活動に大きな打撃を与えます。
サイバー攻撃の手法は日々進化しています。ここでは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2024」などを基に、特に企業が警戒すべき代表的な攻撃の種類を解説します。
| 攻撃の種類 | 概要 | IPA 10大脅威(組織) |
|---|---|---|
| ランサムウェア | データを暗号化し、復旧と引き換えに身代金を要求するマルウェア | 1位 |
| サプライチェーン攻撃 | セキュリティ対策が手薄な取引先などを経由して、標的の企業へ侵入する | 2位 |
| 脆弱性を狙った攻撃 | OSやソフトウェアのセキュリティ上の欠陥(脆弱性)を悪用して攻撃する | 3位 |
| 標的型攻撃メール | 特定の組織を狙い、業務に関係があるように装ったメールでマルウェアに感染させる | 5位 |
| DoS/DDoS攻撃 | 大量のデータを送りつけ、サーバーをダウンさせサービスを停止に追い込む | 8位 |
| ビジネスメール詐欺 | 従業員を装ったメールを送信し、偽の銀行に送金ををさせる | 9位 |
企業のサーバーやPC内のデータを勝手に暗号化し、そのデータを人質にして身代金(ランサム)を要求する攻撃です。
近年は、身代金を支払わなければ盗んだデータを公開すると脅す「二重恐喝」の手口が主流となっており、被害は深刻化しています。
標的とする企業へ直接攻撃するのではなく、セキュリティ対策が比較的脆弱な取引先や子会社、業務で利用している外部サービスなどを踏み台にして侵入する攻撃です。
自社のセキュリティを強固にしていても、サプライチェーン全体で対策を講じなければ、思わぬところから攻撃を受けるリスクがあります。
特定の企業や組織の担当者を狙い、業務に関連する内容や取引先を装ったメールを送りつけ、添付ファイルを開かせたり、URLをクリックさせたりすることでマルウェアに感染させる手口です。
メールの内容は非常に巧妙に偽装されており、一見しただけでは見破ることが困難なケースが増えています。
Webサイトを構成するソフトウェアやアプリケーションのプログラム上の欠陥(脆弱性)を悪用する攻撃です。
代表的なものに、データベースへの不正な命令を実行させる「SQLインジェクション」や、サイトに不正なスクリプトを埋め込む「クロスサイトスクリプティング」などがあり、情報漏洩やサイト改ざんの原因となります。
攻撃対象のサーバーに対して、1台のコンピューターから大量の処理要求を送りつけて機能を停止させる攻撃を「DoS攻撃」、複数のコンピューターから一斉に攻撃を仕掛けるものを「DDoS攻撃」と呼びます。
ECサイトなどが標的になると、サービスが停止し、販売機会の損失といった直接的な被害に繋がります。
標的となる組織やその取引先の従業員になりすました偽のメールを送りつけ、偽の銀行口座への送金を促すサイバー攻撃です。近年では、生成AIを悪用した攻撃が増加しており、手口はますます巧妙化しています。
巧妙化するサイバー攻撃から企業を守るためには、単一の対策だけでは不十分です。「組織的対策」と「技術的対策」を組み合わせた多層的な防御が不可欠です。
まずは、企業として情報セキュリティにどう取り組むかという基本方針(セキュリティポリシー)を明確に定めることが重要です。
情報の取り扱いルールや、パスワードの管理方法、インシデント発生時の報告体制などを具体的に文書化し、全従業員に周知徹底します。
多くのサイバー攻撃は、従業員の不注意や知識不足といった「人」の脆弱性を突いてきます。
不審なメールの見分け方や、安全なパスワードの設定方法など、具体的な知識を身につけるためのセキュリティ教育を定期的に実施することが極めて重要です。
標的型メール攻撃を想定した訓練なども有効な手段です。
従来型のウイルス対策ソフト(アンチウイルス)に加え、PCやサーバーの不審な挙動を検知して対応するEDR(Endpoint Detection and Response)の導入が推奨されます。
これにより、万が一マルウェアの侵入を許してしまった場合でも、被害が拡大する前に対処することが可能になります。
| 対策ツール | 主な役割 |
|---|---|
| ファイアウォール | ネットワークの入口で不正な通信をブロックする |
| WAF | Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃から保護する |
| アンチウイルス | 既知のマルウェアを検知・駆除する |
| EDR | PCやサーバーの操作を監視し、マルウェア侵入後の不審な挙動を検知する |
従業員のアカウントには、業務上必要最小限のアクセス権限のみを付与する「最小権限の原則」を徹底します。
これにより、万が一アカウントが乗っ取られたとしても、被害の範囲を限定することができます。また、退職者のアカウントは速やかに削除するなど、アカウント管理を徹底することも重要です。
利用しているPCのOSや各種ソフトウェアは、常に最新の状態に保つことを心がけてください。
ソフトウェアの提供元からセキュリティ上の欠陥を修正するプログラム(セキュリティパッチ)が配布された場合は、速やかに適用し、脆弱性を放置しないことが攻撃を防ぐための基本となります。
どれだけ対策を講じていても、サイバー攻撃の被害に遭う可能性をゼロにすることはできません。重要なのは、被害が発生した際に、いかに迅速かつ冷静に行動できるかです。
被害を発見したら、まずは感染した可能性のあるPCやサーバーをネットワークから物理的に切り離し、被害の拡大を防ぐことが最優先です。
その後、IT部門や事前に定めたインシデント対応チームに速やかに報告し、指示を仰ぎます。自己判断でPCを再起動したり、不審なファイルを削除したりすると、証拠が失われ、後の調査が困難になる可能性があるため注意が必要です。
被害の状況に応じて、速やかに関係各所へ報告を行います。個人情報の漏洩が発生した場合は、個人情報保護委員会への報告義務があります。
また、サイバー犯罪の被害に遭った場合は、管轄の警察署や都道府県警のサイバー犯罪相談窓口に相談することが重要です。必要に応じて、サイバー保険の窓口や、専門の調査会社(フォレンジック)にも連絡します。
応急処置が完了したら、なぜ攻撃を許してしまったのか、その根本原因を徹底的に調査する必要があります。
外部の専門家の協力も得ながら、侵入経路や被害の範囲を特定し、同様の被害が二度と起こらないよう、具体的な再発防止策を策定し、実行します。
本記事では、サイバー攻撃の定義から目的、種類、そして企業が取るべき対策に至るまでを包括的に解説しました。サイバー攻撃は日々巧妙化しており、その脅威は増すばかりです。しかし、脅威を正しく理解し、組織的・技術的な対策を多層的に講じることで、そのリスクを大幅に低減させることが可能です。
セキュリティ対策は一度行えば終わりというものではありません。継続的な情報収集と対策の見直しを行い、変化する脅威に対応していくことが、企業の持続的な成長と信頼を守る上で不可欠です。
KDDIでは様々なサイバー攻撃のリスクに備えるサービスを提供しています。検討から導入、運用・保守までをワンストップで支援します。ぜひご相談ください。
グローバル拠点のセキュリティ&ガバナンス強化
KDDIのコンサルタントへのご相談・お見積りはこちらから